INTERVIEW
“人材こそが一番の財産”入社後、半数が高難易度資格に合格@中央開発株式会社
今回は、中央開発株式会社の執行役員である瀬古亮介様にお話を伺いました。1946年の創業以来、地質調査を中心に建設コンサルタントとして日本のインフラの安心・安全を支えています。
そんな中央開発株式会社様が事業において大切にしていること、人材教育への想いを余すことなくお届けします。
目次
貴社の事業内容についてお聞かせください。
瀬古様:
当社は社会インフラに関して、技術的な専門家という立場で行政や民間企業へのコンサルティングを行っている、「建設コンサルタント会社」です。
━━「日本で最初の建設コンサルタント会社*」と呼ばれているのはなぜでしょうか?
瀬古様:
中央開発株式会社は、戦後すぐの1946年に設立されました。その時代、東京はもう焼け野原の状態です。当社の創業者は当時、大学教授をしていたのですが、教え子が大勢戦地に赴いていました。いざ終戦して教え子が帰ってきたときに、働き口も家も、何もなくなってしまった。そこで教え子たちのために仕事を作って、その家族を守りたいという想いで設立されたのが当社です。当時日本には建設コンサルタントを専門とした会社※はなく、当社が最初の建設コンサルタント企業と呼ばれております。
*土と基礎,31-9(308), 1983, 土質工学会,国立国会図告館デジタルコレクション
▼創立当時を回想する創業者の対談記事をこちらからご確認いただけます。
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10432320_po_ART0005457463.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
※ 当時、創業者の恩師・内海清温氏など個人で建設コンサルタントを行っている方はいましたが、企業活動として建設コンサルタントを専門に扱う会社はありませんでした。
━━戦後すぐにできた会社なのですね。
瀬古様:
来年で77年目になります。設立当初は測量・調査・設計を中心に行っており、高度経済成長と共にまちづくりや解析・ソフトウェア開発などの分野にも進出し、建設関係の総合的なコンサルティング会社となりました。
━━建設コンサルタントというのは、具体的にどのような仕事をするのでしょうか。
瀬古様:
学生さんには、なじみがない言葉ですよね。
建設コンサルタントは、例えば道路、河川、ダム、橋といった社会インフラに関して、技術的な専門家の立場で総合的なプロデュースをする仕事です。お客様は省庁だと国土交通省、農林水産省、内閣官房。民間だと鉄道会社、大手ゼネコンなど。また研究機関や大学とも共同研究や取引をさせていただいています。
建設コンサルタントが実際に携わる仕事内容としては以下のような4つがあります。
① 計画立案・評価・検討
お客様の方でインフラ(例えば道路やダム)を造る企画が立ち上がった際、その企画が技術的に妥当なものかを評価・検討し、計画としてとりまとめ具体化を図ります。
② 調査・分析
設計に必要な条件設定や、建設上のリスクを抽出するための調査・分析を行います。
③ 詳細設計
予備設計・詳細設計など複数の段階があり、CAD等を使って構造物の設計図面を描きます。
(施工管理)
モノを実際に作っていく工程ですが、この段階だけは建設会社さんの仕事になります。
④ 保守・点検
構造物の完成後の維持・管理も行います。例えばダムが完成した後、何十年も放置していたらボロボロになり、土砂も溜まってしまいます。それを避けるため、できるだけコストをかけずに長く活躍して貰うため、保守点検や補修設計といったメンテナンスを行います。
このように、構造物の一生を通して、最初から最後までトータルで関わる仕事です。
中央開発(株)様が16年間に渡り調査に携わった「東京湾アクアライン」
━━建設現場に立つというより、建設に関わる分析や報告が主業務ということですね。
瀬古様:
そうですね。もちろん現場も非常に重要な工程ですが、現場で得られた情報を取りまとめて、客観的な分析結果(エビデンス)に基づいて、報告書という形で成果品として納めるまでが我々の仕事です。
大きいプロジェクトの成果品では、厚さ20cmの報告書が何冊も束になることもあるんですよ。
━━現在力を入れている分野についてもお聞かせください。
瀬古様:
洋上風力って言葉をご存じですか?昨今ニュースで電力のひっ迫が報じられていますが、それに対処するための次世代のクリーンエネルギーとして、洋上風力発電事業に注目が集まっています。
具体的にどういうものかというと、海の上に風車をいっぱい立てて潮風を受けて発電するというものです。日本は周りが海だらけですので、すごく可能性のある次世代エネルギーです。
当然深い水深の場所に風車を立てることもあります。大水深の調査に対応できる「傾動自在型試錐工法」という当社の独自技術があるのですが、調査などで2年後までスケジュールが埋まっている状況です。
あとは、防災の分野にも力を入れています。ソフト防災という分野になりますが、地震や洪水のハザードマップを制作したり、斜面センサーを用いて土砂災害の予兆を捉え、近くの住民に知らせられるようなアプリの開発を進めています。
貴社の経営理念についてお聞かせください。
瀬古様:
当社では経営理念として「技術をもって社会に貢献する」という社是を設けています。
戦後の荒廃した日本の再建に、建設という分野で貢献することを創業の理念として生まれた会社です。現在においても、社員一人ひとりが社会貢献の精神を持って日々の業務に取り組むことを大切にしています。
社員の皆様の働き方についての取り組みをお聞かせください。
━━従業員満足度向上を追求する「ES推進室」という専任の部署があると伺いましたが…
瀬古様:
ESとは、Employee Satisfaction(従業員満足度)の略で、アメリカでは1930年代から現在まで研究されている分野です。当社では若手社員を中心とした職場環境改善のワーキンググループの働きかけをきっかけに、2020年にエンゲージメント向上を目的とする専門部署「ES推進室」が誕生しました。
具体的には、定期的に全社員に職場環境アンケート調査を行い、それを分析して、働きがいや働きやすさの観点から職場環境を改善するための方策を話し合っています。
現場目線での改善を行うため、仙台、名古屋、福岡など全国の事業所の20代の若手社員が主体となって活動をしています。
この部署発信で実現した改革としては、住宅手当など賃金のアップをはじめ、社内ネットワークなどのインフラ強化、社内手続きの電子化などがあります。
実はこの魅力ある労働環境づくりの取り組みは、当社の中長期経営ビジョンの中に織り込まれています。なぜかというと、当社の提供するサービスはコンサルティングであり、人材こそが一番の財産だからです。人が持つ技術や経験、知識が当社の商品そのものです。だから、我々は人材に対して投資を惜しまないという考えです。
貴社の研修制度の特徴についてお聞かせください。
━━まず、新入社員研修についてお聞かせください。
瀬古様:
新入社員研修では、社会人としてのマナーや建設コンサルタントとして必要な心構えなど、どの部署に配属になっても必要な基礎スキルを集合で学んでいただきます。新入社員の横のつながりを大切にして欲しいという想いから、今年は感染対策をしながら全員集まって対面で研修を行いました。
それぞれの部署に配属された後は1年間のOJT研修となります。コンサルタントは非常に専門性が高い職業なので、一律に同じ内容の教育では高い効果は得られません。そのため、それぞれの専門分野に沿った教育を行うことを重視しています。プロジェクトチームの中で、上司や先輩のサポートを受けながら経験と専門性を高めていただきます。
その後、経験に応じて階層別教育を受けて頂きます。
新入社員研修
━━他に、どのような学びの機会がありますか?
瀬古様:
事業所毎、専門分野毎の勉強会が非常に活発に行われています。社員が講師となり、それぞれの経験を共有することを目的としています。勉強会のデータはWEB上に蓄積して、オンデマンド配信(見逃し配信)という形で全国の社員がいつでも好きな時に見られるシステムにしています。
完全自主参加で、興味がある分野や、自分が知識を高めたい分野の勉強会に自由に参加いただいています。もちろん、新入社員も多く参加していますよ。
勉強会
━━資格取得の為のサポートなどはありますか?
瀬古様:
配属先によって必要な資格は違いますが、技術系社員では、技術士や博士号を、営業・事務系社員ではMBA、宅地建物取引士、建設業経理士などの取得を目指して貰っています。
特に「技術士」は、科学技術分野の最高峰と言われる非常に高難度の資格試験です。当社では頻繁に試験対策の勉強会をやっており、論文の添削や模擬面接など1人でも多くの社員が合格できるよう会社として支援をしています。
これらの取り組みのおかげか、当社では技術系社員の約6割、全従業員の47.8%がこの「技術士」を保有しています。土木や地質を専門に学んでこなかった新入社員の中にも、入社1年目で技術士第一次試験(技術士補)に合格する方がいますよ。今後も、「資格が取れる会社」であり続けたいと思っています。
━━その他成長に向けての取り組みがあればお聞かせください。
瀬古様:
社内の一大イベントとして、1年間の業務や研究成果を発表する「社内研究発表・業務報告会」という取組があります。1966年に始まった、とても歴史あるイベントです。この日は全社員の半数以上が対面とオンラインで集結します。
そして直近1年間の業務や研究の成果について、各々が数分間のプレゼンを行います。新入社員にも、全国の社員への自己紹介の場として卒論や学生時代の取組を発表してもらっています。更にこれらの成果は、全社員がアクセスできる文献データベースの中でも論文集として蓄積し、全社員がいつでも確認できる仕組みを構築しています。
この「社内研※」で鍛えられた社員が国内外でプレゼンを行い、賞をいただくことも数多くあります。2017年には東京支社の社員がイギリスの土木学会で、栄誉ある「テルフォード賞」を受賞しました。また一昨年は入社2年目の社員が地盤工学会の関東支部発表会で優秀発表者賞を受賞しています。
このようなイベントを通じて、新入社員の方であっても、皆に顔を覚えてもらい、色々な社員からサポートを受けながら仕事をしてほしいなと考えています。
※ 社内研: 社内研究発表・業務報告会の通称。
社内研究・業務報告会
貴社の雰囲気を一言で表現すると、どんな言葉になりますか?
瀬古様:
「おおらか」ですね。これはES調査を行った際、社員から多く出てきた言葉でもあります。
例えば、もし何か失敗をしたとき、その社員を責めるのではなくて、どうやったら失敗を回避できるかについて、みんなで話し合うという風潮があります。失敗を恐れずにのびのびと活躍いただける社風ですね。
また、特に私が感じることとしては、風通しのいい会社だなということです。老舗企業ということで堅苦しい社風なのでは、と思われるかもしれませんが、いい意味でベンチャー気質がありますね。私も部下から怒られることがありますし(笑)。
新入社員でもベテランでも関係なく、意見が言いやすい環境です。もちろん我儘を言う話ではありません。お客様に提出する成果品のクオリティを少しでも高めるため、誰もが「こうした方が良い」と発信できて、良い意見はすぐに採用される社風だと思っています。
仕事をするうえでの信条についてお聞かせください。
瀬古様:
つねに「プロフェッショナル」であるということです。お客様は私たちに対して、土木建造物の専門家の立場でのアドバイスを求めておられます。また、我々には先輩社員が70年以上かけて積み重ねてきた信頼があります。
信頼を築きあげるには恒久の年月が必要ですが、失う時は一瞬です。信頼を損なわないために、成果には少しの瑕疵も許さないことが第一です。
そして一つとして同じものがないプロジェクトの中で、契約書や仕様書でお客様と取り決めた約束をしっかり守るということを大切にしています。誠実な対応を徹底するということですね。
余談ですが「現状維持は相対的な退化である」という言葉を念頭に、現状に満足せず向上心を持ち続けることを大切にしています。
求める人物像についてお聞かせください。
瀬古様:
当社の社是に賛同して頂けて、社風に適合いただける方だと嬉しく思います。
またコンサルタントという仕事柄、技術知識や経験も大切ですが、それをお客様や第三者に見える形で提示できることが重要です。そのために、自分の考えを対人関係の中でしっかりとアウトプットできる方を求めています。
とはいえ、得意なことは十人十色です。必ずしもコミュニケーションが必要な部署だけではありませんので、あなたが得意なことの、何か一つを活かせそうな方、当社としては大歓迎です。
当社は書類選考や適正検査等より面接に重きを置いています。毎年たくさんの方に応募頂いていますが、できるだけ多くの方と面接を行うようにしています。
面接の場で、当社に入社した後のキャリアビジョンについてお話ししていけたらよいと思っています。
ーー現在貴社で活躍している方は、どんな特徴をお持ちですか?
瀬古様:
楽しんで仕事をしている方ですね。この仕事が好きになり、興味や知的好奇心をもって業務に取り組めている方。そういう方は男女問わず、生き生きと輝いて見えます。
そのために、社員が楽しく、伸び伸びと働ける環境づくりが非常に重要だと日々実感しています。昔は建設コンサルタントというと激務の代名詞だったんですよ。それは高度経済成長を背景に、海外に追いつけ・追い越せ、と私生活より仕事を重視するという風潮があったからです。
逆に、現在は仕事とプライベートのバランスを取ることが大切な時代だと思います。ですので、社員の働きやすさはこれからもどんどん良くしていきたい部分です。
そういった働きかけもあり、当社は離職率が大変低くなっています。昨年と今年の2年間で35名の新入社員を採用していますが、33名が定着しています。
入社後3年間離職率だけでなく会社全体としての離職率も2%程度と低くなっており、長く働いていただける環境かなと思っています。
就活中の学生さんに一言お願いします。
瀬古様:
就職は人生を左右する大きな決断ですから、後悔しないような選択をしていただけたらと思います。特に新卒一括採用が中心の日本では、初めの就職先によってその後に選べるキャリアも大きく変わっていきます。
こうしたことを踏まえ、当社では内定後に面談を設けていて、「NGなしでざっくばらんに、なんでも聞いていいよ」という場を設けております。お金の話でも残業の話でも、気になることは全部聞いて貰い、できるだけ入社後にギャップを感じることがないようにするためです。
よく学生さんから「御社に入社する前にやっておいた方が良いことはありますか?」という質問がありますが、私は「学生時代しかできないことを十分にやってほしい」と答えています。
当社では入社前の研修も行わないのですが、これは学生さんの貴重な時間を奪わないようにするためです。仕事で必要な知識・経験・スキルはすべて入社後に身に付きます。
就活が終わった後は、まとまった時間を有効に使って、今しか出来ない経験をしてください。
そして、もしこの記事を読んで当社に興味を持ってくれた方がいれば、当社の採用ページを覗いてみてください。一緒にお仕事ができることを心より楽しみにしています!
インタビュアーのコメント
今回は、中央開発株式会社の瀬古様にお話を伺いました。荒廃した戦後の日本の復興に、地質調査や土木設計など、建設コンサルティングを通じて貢献してきた中央開発株式会社様。創業76年の老舗企業でありながらも、社員の顔が見える、風通しの良い社風が魅力的だなと感じました。
「専門性を高めて働きたい」「学び続けられる環境にいたい」「インフラを支える仕事に興味がある」「ワークライフバランスも大切にしたい」という方は、是非選考に進まれてはいかがでしょうか。
瀬古様、本日は貴重なお話をありがとうございました。
(インタビュアー:織田 緑,取材日:2022年7月25日)
織田 緑 株式会社PDCAの学校 営業部・インタビュアー |
応募はこちらから!
▼公式採用サイト:https://www.ckcnet.co.jp/recruit/
▼マイナビ :https://job.mynavi.jp/23/pc/search/corp94328/outline.html
会社概要
社名 :中央開発株式会社
設立 :昭和21年3月10日
本社 :〒169-8612 東京都新宿区西早稲田三丁目13番5号
ホームページ:https://www.ckcnet.co.jp/
担当者プロフィール
瀨古 亮介(執行役員 経営企画センター長 兼 ES推進室長,技術センターDX推進室)
建設コンサルタントとして地盤調査や行政の防災計画策定支援を経験 。
そこから、河川財団 河川総合研究所の研究員として活躍。
現在は、執行役員として経営企画・人材管理に携わる。