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INTERVIEW

「自然」をコンセプトに快適な空間をつくりだす冷暖房・加湿器・除湿機の専門メーカー@ピーエス

1960年に冷暖房・加湿器・除湿機の専門メーカーとして創業した、ピーエス株式会社。日本で最初に産業用加湿器の販売を始めたパイオニアです。創業者はもともと空調業界で電気工事などの仕事をしていましたが、工事だけではなく空調機器に内蔵する加湿器などの必要性を感じ、起業したそうです。創業から一貫して、お客様に適した空間づくりをオーダーメイドでつくり続けている同社。今後の展望や求める人材像など、代表取締役の平山武久様にお話をうかがいました。

インフォメーションセンター PSモンスーン(東京・杉並)

 

貴社の事業内容についてお聞かせください。

平山様:
ピーエスは、温度と湿度に関する製品をつくっている会社です。具体的には、水を使ったラジエーターです。ファンを使わず、水を使って空間を暖めたり冷やしたりできます。冷風、温風を使用した冷暖房の快適さとは全く異なります。当社の製品は、お客様の建物や各地の気候に合わせたオーダーメイドです。気候は地域によって全然違います。建物も種類や大きさによって必要なものが変わります。ですからそれに合わせた製品をつくっているのです。それから産業用の加湿器や除湿機も手掛けています。

━━どのようなところで使われているのでしょうか?

例えば美術館の収蔵庫、印刷工場、半導体工場、キノコの栽培室、病院の手術室など多岐にわたります。とにかく湿度をしっかりコントロールするニーズが高い場所です。

━━私は冬場に暖房を入れると、乾燥して喉を痛めることがあります。水を使った暖房だと、このあたりは改善されるのでしょうか。

そうです。温風で部屋を暖めた場合、カビやダニなど、目に見えないものが宙に舞います。それを吸ってしまっているので、喉を刺激してしまうのです。当社の暖房は空気をかき回さず、部屋を暖めるので、それらが多く飛散する心配がなく快適に過ごせます。

空間を優しく暖めます『ピーエス放射暖房 PS HRヒータ』

貴社の強みについてお聞かせください。

平山様:
ピーエスの強みは「小さい」ことです。ターゲットがニッチかつ特殊なので、一般的な空調機器メーカーとは仕事が異なります。当社では、標準化された製品を大量に売ることではなく、個々のお客様に合わせて、最適なシステムを提案します。また、当社の冷暖房システムはオーダーメイドですので、その空間に合わせて製品をつくります。産業向けの施設でも、一般的な住宅でも、その空間にとって最も省エネで、快適かつ空間に合った格好良いデザインのものを提供できるのです。

私たちはデザイン性をすごく大事にしています。冷房や暖房に格好良いイメージを持っている人は少ないから、意外性があるのですね。建築業界では、空調機器を隠して設計されることが多いです。しかし当社の製品はデザイン性の高さから、空間の一部、あるいは主役として採用されることも多いです。

『ピーエス放射冷暖房 HR-C』と大正建築の立派な柱/インフォメーションセンター PS オランジュリ(熊本)

 

━━ピーエスという社名の由来を教えていただけますか。

平山様:
『Popular Science』という、アメリカの科学雑誌から来ています。父は創業当時、この雑誌を読んでいろいろな技術に触れていたのです。

━━貴社のホームページには「自然+PS」というコンセプトが書かれています。こちらについて教えていただけますか?

平山様:
私たちが掲げる「自然」には、森や川、湖のような自然が持つあるがままの豊かさ、そして四季のリズムや、それぞれの地域と空間が持つ個性を重んじることなど、シンプルなコンセプトですが、さまざまな意味が込められています。

空調機器は、室内を設定温度で一定に保つことに重きを置いているイメージがありますが、私たちの製品は、いわば「第2の自然」です。季節や気候の変化を巧みに取り入れつつ、さまざま活動や、生活パターンに合わせた環境づくりを提案しています。自然とうまく向き合うことで、お客様に対して価値を提供していきたいと考えています。

人も緑もいきいきと/インフォメーションセンター PS IDIC(岩手・八幡平)

貴社が求める人材像についてお聞かせください

平山様:
性格がうんと明るくて、チャレンジ精神がある人です。とにかく自分の考えを持っていて、新しいことをやりたいと思っている、そんな学生の方に来ていただければと考えています。

━━良い人材を見抜くために、取り組んでいることはありますか。

平山様:
当社ではインターンシップに力を入れています。最終選考前後に、そのような機会を設けることもあります。海外に比べて、日本のインターンシップは、期間が短すぎると感じています。3日間とか、中には1日しかないインターンシップもありますよね。

━━1DAYインターンシップを実施している企業もありますね。

平山様:
それだとインターンシップではなく、会社訪問で終わってしまうことになります。インターンシップは、一緒に仕事しながらお互いのことを知っていくものです。海外では大体1カ月から3カ月、長いものだと1年におよぶものもあります。私たちはできるだけ、時間をかけてインターンシップをやりたいと考えています。

━━これまでに実施したインターンシップの事例について教えていただけますか。

2022年リニューアルオープン/インフォメーションセンター PSアトリエ(宮城・仙台)

平山様:
仙台にある事務所のリニューアルを、東北芸術工科大学の学生と一緒に行いました。

当社は創業から60年以上経っているため、古くなっている事務所がいくつかあります。60年前に建てた事務所は60年前の価値観、30年前の事務所は30年前の価値観で建てられたものです。当時は新鮮だったレイアウトも、年月を経るとどうしても古くなってしまいます。たとえば今は座席を固定しない、フリーアドレス制がオフィスの主流になっていますよね。ベテラン社員と次世代の社員が、同じ目線に立ってお互い刺激しあえるような空間デザインに変えたのです。

━━インターンシップの期間は、どれくらいだったのでしょうか?

平山様:
このプロジェクトは約2カ月でした。それくらいの期間一緒に仕事をすると、お互いのことがよくわかります。インターンシップに来た学生さんたちは、ピーエスという会社を深く理解してくれますし、製品のことも理解してくれるのです。また「やりたい」と自ら手を挙げてきてくれるので、能力とチャレンジ精神を持つ学生と出会えるメリットもあります。面接だけでは、なかなか学生の本質はわかりません。今後もこのような、プロジェクト単位のインターンシップをやっていきたいと考えています。

社内で活躍している人材の共通点についてお聞かせください。

平山様:
一言でいうと「能動的」ですね。もちろん、入社していきなり全部自由に、能動的に動ける人はいません。しかし業務経験を重ねていくうちに、どんどん自ら動き、開拓できるようになる点が共通しています。というのも、当社は大企業ではないので、各地域のメンバーは少数精鋭です。人数が少ないということは、自分がやらなければ、誰もやってくれないということです。ですから「自分が周りを引っ張っていくのだ」という強い気持ちと向上心が重要です。

━━貴社は全国さまざまなエリアに営業所がありますね。各エリアの従業員数は何名くらいでしょうか?

平山様:
地域によって異なりますが、東京は約30名、他の拠点は3~10名です。工場にも、約50名の社員が働いています。当社はルート営業ではないので、自分で取引先を開拓していく必要があります。また、すべてプロジェクト単位ですので、受注して終わりではありません。プロジェクトが進むにつれて、かかわる外部の人が増えていきます。建設会社、設備会社、建築事務所、商社、そしてお客様です。プロジェクトは1年で終わるものもあれば、3年以上の長期にわたるものもあります。大変な面もありますが、完成させたときの喜びが大きい仕事です。

貴社の研修制度についてお聞かせください

平山様:
当社では数年前から新入社員に対して、メンターをつけています。そしてOJTとしては、先輩社員と一緒に動き、仕事を覚えてもらいます。ただし、経理ではメンバーの中でアシスタント的な仕事から始めてもらうなど、部署によって異なります。

━━基本はOJTというわけですね。貴社ならではの特色はありますか?

平山様:
当社は40年以上、ヨーロッパのいくつかの企業と取引があります。入社して数年後に、その企業に社員を派遣したり、現地の展示会に参加してもらうこともあります。ヨーロッパの建築、環境、考え方、そして価値観は、日本に居るだけではなかなかわかりません。現地を体験するからこそ、現地の人と取引ができます。当社が取引先と長く良好な関係を築けているからこそ、できることなのです。

 

インフォメーションセンター PS IDIC(岩手・八幡平)

貴社の今後の展望についてお聞かせください。

平山様:
2022年、私たちの会社は63期目を迎えました。これまでの約60年間、私たちはずっとメーカーとして、設備業者さんや設計事務所さんなどと一緒に仕事をしてきました。しかし実際に私たちの製品を使うのはエンドユーザーですし、製品を評価するのもエンドユーザーです。ですから、その方たちに当社を知ってほしいし、見つけてもらいたいという想いがあります。

そのために、私たちは全国各地に「インフォメーションセンター」というショールームをつくりました。同じ日本でも、札幌と九州の熊本の気候は全然違います。ですから、地域ごとに当社の製品を体感できる場所をつくっています。

今は企業と個人の両方に当社を知ってもらうため、北から南へと種をまいた段階です。これから芽を出して、花を咲かせていければと考えています。

最後に、就活中の学生へメッセージをお願いします。

平山様:
中小企業の情報は、大企業と比べて、なかなか学生の方に届きづらい現状があります。何とか当社のことを学生に伝えたいけど、多くの情報に埋もれてしまい、なかなか知ってもらうことすら難しいと悩んだ時期がありました。

しかし今は、広く多くの情報を届けるよりも、一つ一つの出会いを大切に、より深く皆さんにピーエスを知ってもらうよう工夫しています。例えば、仙台のインターンの事例をご紹介しましたが、インターンで当社にかかわった学生さんが、友達に「ピーエスという会社はすごく面白いよ。あなたにも合っていると思うよ」とお勧めしてくれることがありました。ピーエスは、このような直接の繋がりから生まれる出会いを大事にしています。それは、ピーエスを知り、製品を体感してもらえれば、興味を持ってもらえる、という自信があるからです。

実際に、当社と直接出会った学生さんたちは、その中から3分の1が、選考に進んでくれるわけです。

従業員が1万人の会社では、あなたは1万人分の1人です。取引先にとっても1万分の1です。従業員が100人の会社だと、相手にとってあなたは100分の1の存在になります。さらに従業員5人の営業所に所属したら、5分の1の存在になるわけです。相手にとっての1万分の1ではなく、100分の1、5分の1として存在感を出し、力を発揮したい方は、ぜひ見学にお越しください。そして当社の加湿器やラジエーターを体感していただき、将来に向けて何ができるかを一緒にディスカッションできたら嬉しいです。

━━ありがとうございました。

インタビュー風景/インフォメーションセンター PS ジャングル(東京・渋谷)

 

インタビュアーのコメント
今、地球温暖化が深刻な問題になっています。街を歩いていても、10年前や20年前と比べ、気候が確実に変化しつつあると感じます。そのような中で、自然と向き合いながら快適な環境をつくり続けるピーエスの事業は、これからの日本、そして世界に必要なビジネスモデルであると、お話を聞いて感じました。興味を持たれた方は、ぜひ説明会に参加してみてはいかがでしょうか。(インタビュアー:中山)

担当者プロフィール
平山武久様(ピーエス株式会社 代表取締役)

東京都生まれ。ラットガース・ニュージャージー州立大学Industrial Engineering 学科卒業。1982年、ピーエス株式会社入社。開発室に所属し、製造技術及び利用技術を取得する。その後、マーケティングマネージャーとして広報・マーケティングに関わる企画・運営を担当し、1998年、代表取締役に就任。万平ホテルウスイ館や北海道ニセコの昨今のコンドミニアムなどの室内気候計画に携わる。日本各地の多様な気候における環境とユーザーのニーズについて深く追求し、その地域と用途に合わせた室内気候計画の提案を進めている。

会社概要
社名:ピーエス株式会社
創業:1960年10月
所在地:東京都渋谷区富ヶ谷1-1-3
ホームページ:https://ps-group.co.jp/

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https://ps-group.co.jp/company/recruit